分別しよう!
使用済み紙コップが「循環」する

分別しよう!使用済み紙コップが「循環」する

世田谷パン祭りは毎年パンの販売だけでなく、フードやドリンクなども提供され、会場となる世田谷公園の至る所で食事を楽しむ人の姿があります。そして、祭りのあとにはたくさんの空き容器やカトラリー、袋などのごみが残ります。これまでボランティアスタッフの尽力により分別・処分されていました。
今年の「サーカス」とその語源にちなんで「サーキュラー=循環」も大事なテーマとなります。そこで会場に『サーキュラーステーション』を設置し、ごみの分別を今まで以上に徹底して、生ゴミや紙コップなど資源化できるものを増やし、ごみそのものを減らしたいと考えています。
今回”使用済み”紙コップのリサイクルにご協力いただく日本紙通商株式会社にお話を伺いました。

世田谷パン祭り(以下、パ)_「使用済み紙コップのリサイクル」を始めたきっかけを教えてください。

日本紙通商株式会社(以下、紙)_これまで使用済みの紙コップの多くは、焼却処分されてきました。私たちは長年、紙製品と向き合いながら事業を展開してきた立場として、「この現状を変えたい」という強い思いがありました。また、食品・飲料用紙容器のリサイクルに対する社会的ニーズの高まりも感じていました。

そこで「使用済み紙コップの資源化」に向けた技術革新を進め、リサイクルを実現するための回収拠点および洗浄拠点を整備しました。日本製紙グループ全体としても、古紙を重要な製紙原料と位置づけ、これまで活用されてこなかった未利用古紙のリサイクル率向上を目指す取り組みを進めています。

パ_従来の古紙リサイクルとはどのように違うのでしょうか?

紙_段ボールや新聞、雑誌などの再資源化は一般的です。一方で、紙コップなどの飲料・食品用紙容器は、液体を保持するために内側がポリエチレン(プラスチック)で防水加工されています。再資源化するためには、このポリエチレンと紙繊維を分離しなければなりません。また、容器に残る食品の汚れや臭いなど、衛生面の課題もあります。こうした理由から「公益財団法人 古紙再生促進センター」が定める古紙分類において、使用済み紙コップは“禁忌品”に指定され、一般的には焼却処分されてきました。
日本製紙グループでは、これらの技術的・衛生的な課題をクリアし、紙コップの再資源化を実現しています。

パ_再資源化によって、どのような製品が生まれるのでしょうか?

紙_段ボールや新しい紙コップへの再利用に加え、紙糸を活用した布製品などにもアップサイクル可能です。

分別しよう!使用済み紙コップが「循環」する

パ_これまでの具体的な取り組み事例を教えてください。

紙_企業や大学で使用済み紙コップを回収し、タオルなど紙糸を使った製品にアップサイクルする取り組みを行っています。また、航空機内で提供される紙コップを回収し、新たな紙コップに再生する水平リサイクルも実現しました。さらに、マラソン大会などのイベントでは、主催者・ランナー・ボランティアの協力を得て分別回収を行い、廃棄物の削減とアップサイクルの両立を実現しています。

分別しよう!使用済み紙コップが「循環」する

パ_今回の世田谷パン祭りでも、ドリンクの提供などで使われた紙コップを分別回収する予定です。

紙_はい。世田谷パン祭りで集まった紙コップは、わたしたちが回収し、古紙として再利用する予定です。今回の事例をきっかけに、こうした大規模なイベントで分別回収と資源化への取り組みがさらに増えるのではないかと思います。

パ_今後、この取り組みをどのように広げていきたいですか?

紙_「紙コップ=使い捨て」というイメージはいまだ根強いですが、回収量の拡大とともに「紙コップはリサイクルできる資源である」という社会的認知を高め、資源化を一層推進していきたいと考えています。また、紙コップに限らず、さまざまな古紙の再資源化にも取り組みの幅を広げていきます。
アップサイクル製品のラインナップを充実させ、「見える化」を進めることで、消費者や企業の皆さんにも「自分たちがこの循環に参加している」という実感を持ってもらえたらと思っています。

パ_今は、こうした循環の取り組みを社会全体で進める機運が高まっていますね。

紙_日本製紙グループは「木とともに未来を拓く」というスローガンのもと、再生可能な木材資源を活かしながら、新たな価値創造と循環型社会の構築を目指しています。
使用済み紙コップのリサイクルをはじめ、今後も持続可能な社会づくりに貢献していきたいと考えています。

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日本紙通商株式会社
日本製紙グループの商社機能を担う企業であり、紙製品だけでなく、セルロースナノファイバーなど紙を基盤とした多様な製品を扱い、人々の生活と文化の発展に貢献しています。デジタル化が進む現代において、情報伝達や環境配慮といった紙の多様な価値を活かしつつ、紙以外の製品も提供することで、持続可能な社会の実現を目指しています。
https://www.np-t.co.jp/recycle/