イベントとして人が集まる機会をつくるということは、多くの人たちに何かを伝えることができる機会にもなるーー わたしたちは、「世田谷パン祭り」だからこそできることを考え、楽しい未来を作っていくために、環境や社会が抱える課題に対してのアクションを毎年実施しています。

今年は「ロスパン活用へのチャレンジ」「バナーのアップサイクル」「余った食品のリユース」の3つの取り組みを実施。イベント内で取り組みを行うことで、「世田谷パン祭り」にお越しくださるみなさんにもこれらの問題に触れる機会を提供し、”美味しく食べる” の裏側へも関心を深めていただくことに繋がれば嬉しいです。

ビールがロスパンを救う?

現代の日本では食品ロスが大きな社会問題となっています。中でもパンはロス率の高い食品の一つと言われていて、ベーカリーのみなさんもそれぞれにロスを出さない、出てしまったロスパン(ロスしたパン)の活かし方などに工夫をされています。

昨今では、どうしても余ってしまったロスパンの活用法の一つとして、パンを使ったビールを造るという取り組みも国内で少しずつ見られるようになってきました。

今回初出店する「Brewstars Yacht Club」もその一つ。昨年、2022年6月に葉山にオープンした、新しいブリュワリーです。

以前からアップサイクルビールに関心を持っていた代表の菊池さん。ブリュワリーをやるならば、廃棄しなければいけないパンを使い、ビールを造ってみたいと思っていた中、同じ地域にある天然酵母のベーカリーEarth 7716 Factory (今回出店)の協力を得て、ともにロスパンを使ったビールの醸造を始められたそう。『世田谷パン祭り2023』当日もこの地域密着のアップサイクルビールが「Brewstars Yacht Club」のブースで提供される予定です。

そして、今回『世田谷パン祭り2023』では、ロスパンを活用した「アップサイクルビール」の醸造にチャレンジすることになりました。

この趣旨に賛同し、醸造を担当してくれたのは、群馬県桐生市でアウトドアセレクトショップ「purveyors」が運営する「FARCRY BREWING」 。そして、世田谷・梅ヶ丘に今年できたばかりの話題のベーカリー「BAKESTORE」、経堂の大人気ベーカリー「onkä」、この世田谷区内の2店舗から提供いただいたさまざまな種類のパンを使用してビールを醸造します。

このビールはまさに現在醸造中!『世田谷パン祭り2023』当日、今回新設されるパン呑みエリアの「FARCRY BREWING」ブースでお披露目&限定販売します。

きっと美味しいビールができるはず。みなさん当日をお楽しみに。

“もったいない” を誰かの “ありがとう”へ

ここ数年「世田谷パン祭り」として継続して取り組んでいる試みの一つがフードドライブ。フードドライブは、ご家庭で保管していたけれど使われていない食べものや余っている食べものを持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動です。

コーヒー・紅茶・お茶・お菓子などの嗜好品やインスタント・レトルト食品、缶詰など、包装や外装が破損していない未開封で賞味期限まで2か月以上あるもの、冷凍・冷蔵でないことなどが寄付できる品物の条件です。

「世田谷パン祭り」でも、たくさんのベーカリー、パンのおともや飲食のお店など、たくさんの食べ物を扱うお店が出店しています。フードロスの現状があらわになる中、わたしたちも食べ物に携わる一員としてできるアクションを行おうと考え、おせっかいクラブの運営する「おでかけひろばcobaco」の協力のもと取り組みを開始しました。

今年も、当日会場内にフードドライブの窓口を設置し、使われていない食べものや余っている食べものの持ち込みを受け付けます。お持ちいただいた食べものは、イベント終了後、北沢おせっかいクラブを通じて必要としている方々や子ども食堂などに提供します。

食べものを余らせ、使わずに捨ててしまう “もったいない” が それを必要とする誰かの “ありがとう” へとつながる取り組み。『世田谷パン祭り2023』へお越しの際は、お出かけの前にご自宅のキッチンや戸棚にそんな食べものがないかのぞいてみてください。