『世田谷パン祭り2023』のテーマ「FRESH」のストーリーにもある「フレッシュなパン屋さんの発見」。今回初出店となるベーカリーの中から、FRESHな女優、雪見みとさんが注目するベーカリーをご紹介します。

その1 【フランス本場の味を日本へ】 Le Coin Vert (ル・コワンヴェール)

フランス出身のシェフが作る本場の味

飯田橋駅から少し坂を登って徒歩3分。
秋の光が差すのどかな風景の一角に、絵本に出てきそうな雰囲気のあるパン屋さん。
ここLe Coin Vert 神楽坂は、フランス・ノルマンディー地方出身のパトリック・ルメルさんがシェフを務め、本場の味を提供しています。

お店に入ってまず目を引くのは、宝石のように美しいケーキたち。

元々パティスリーとしてオープンしたこちらのお店では、長年経験を積んできたシェフの作る本格的なケーキを求めていらっしゃるお客さんも。

そのショーケースの上には、私のお目当て、クロワッサンが、、、

見た目も味も本格的!

フランスでは、パティスリーがクロワッサンなど、パンを販売するスタイルがよくあるそう。
ケーキと同様、シェフの作るパンは見た目にも艶やかで美しく、食欲をそそります。
シェフがこだわっているのは、バター。

厳格なAOP基準を満たしたノルマンディーのフレンチバターは、風味が豊かで香りが強いことが特徴。この店の本場の味の決め手になっています。

丁寧な層を織りなすクロワッサンはフランボワーズ、ピスタチオ、チョコ、アーモンドなど種類も豊富。まずはプレーンを。
一口ほおばるとサクサクっと解け、中はジュワッと、バターの豊かな風味が鼻腔まで広がります。
お店の外のポカポカしたベンチで食べていた私は、いつからかフランスの田園風景に心地よい風が吹き渡るような、幻を見てしまうほど、世界観に浸っていました。
そして、気付けばもう一度店内へ。一個では物足りず、次はチョコとピスタチオも。
たくさんパンを食べてきた私史上でも最高のクロワッサンを更新したかもしれません。

ちゃっかりモンヴェールもいただきました。
ふわっとしたクリームとメレンゲのサクッと食感、ブルーベリーソースの酸味がアクセントになって美味!
11月から予約受付開始のクリスマスケーキにも注目です。

あなたはもうフランスにいる

今回『世田谷パン祭り2023』には、クロワッサンやカヌレ、カンパーニュなど定番商品に加え、限定商品として蕎麦粉入りのマロンパンを出品予定。フランスではガレットなどに使われ、日本でも馴染みのある蕎麦粉と、旬の栗を使ったパン。これは美味しいに違いない、、、

日本のイベントには初出店。
「フランスの本場の味を日本に広めたい」とパトリック・ルメルさん。

日本にいながら、1口食べればそこはもうフランス。
世田谷公園にもFRESHなフランスの風を運んできてくれることでしょう。

その2 【 Made in Local 地元の素材を届けたい】 Len Local Speciality Factory

地元の素材を余すところなく

こちらは編集長お墨付きのパン屋さん。以前食べたパンの味が忘れられず、足を伸ばしても買いに行きたいパン屋さんが満を持して世田谷パン祭り初出店とのことで取材へ!

グレーを基調にした洗練された雰囲気のお店。隣にはカフェスペースも併設されています。

この店の特徴はなんといっても、Made in Local(地元産)。全ての商品に、地元・川崎産の食材が使用されています。川崎というと都会のイメージがあったのですが、果物、野菜、卵、塩、竹墨など、意外にも魅力的な素材の宝庫だそう!地元の人たちも知らない地元の魅力を届けてくれます。

地域の活性化だけでなく、環境への配慮や食材廃棄ロスへの取り組みも。お店で目についたのは「カンパーニュ・サステナビリティ」。本来捨てられてしまうパンの耳のカットロスなどをローストし、粉砕して生地に練り込むことで、より香ばしい風味を感じられるカンパーニュに仕上がります。
2022年、参加するRED U-35 でBRONZE EGGを受賞しています。

独自の美味しさが光るパンたち

人気ナンバーワンは「Lenブレッド」。自然酵母を使用し、限界まで水分を閉じ込めた究極の高加水パン。しっとりもちもちの食感が好評の食パンです。

私が気になったのはそのお隣に並ぶ「もっちりほっぺのクリームパン」。可愛らしいネーミングにぴったりなビジュアル。こちらも「Lenブレッド」と同じ高加水生地を使っているとのこと。赤ちゃんのほっぺのようにすべすべでぽよぽよした感触に期待が高まります。いざ実食。一口ほおばるともっちり薄皮の生地の中からカスタードがたっぷりと。地元の「うみたて卵」を使用したカスタードは、優しい甘さの中にコクが感じられて、おもわず笑顔になってしまう幸福感。食べてなくなるのが寂しい。

料理業界にも携わってきたという統括シェフ。大葉、いぶりがっこ、のり、塩昆布など、パンには珍しい食材を使ったアレンジを得意としています。
中でも私のおすすめは「じゃがいもと大葉のフォカッチャ」。数年前初めて食べた時の衝撃を今でも覚えています。もっちり生地とほくほくのじゃがいも、大葉の香りが相性抜群!個人的にはリベイクしていただくのがオススメ!生地のジューシーさと大葉の香りが一層引き立ちます。

「世田谷パン祭りは一大イベント。スタッフ一同気合い入ってます。」

『世田谷パン祭り2023』限定商品として、川崎産大葉とゆずの明太チャバタを販売予定。大葉の香りとゆずの苦味をアクセントにした大人な魅力のパンです。

日々パン屋に通いつめる私。大体のパンは見た目で味が想像できてしまうのですが、ここのパンは全てが未知数。ここでしか手に入らない味を求めてまた来たくなる。地元のFRESHな素材を使った、地元に愛されるパン屋さん。世田谷で味わえる機会をお見逃しなく!

その3 【今注目のサワードウブレッド専門店!】 BAKE STORE

オーストラリアの食文化

世田谷区梅丘にお店を構える「BAKE STORE」。2023年3月にオープンしたサワードウブレッドの専門店です。明るくおしゃれな店内は、他のパン屋さんとは一味違う、爽やかな香りに包まれています。

卒業旅行で訪れたオーストラリアで初めて出会ったサワードウブレッドが忘れられず、日本で食品会社に勤めたのち、退職してオーストラリアで一からパン作りを学んだ店主。日本でもじわじわと認知度が上がってきているパンですが、オーストラリアでは食事パンとして主流なんだそう。消化にも良く、血糖値の急激な上昇を抑える効果があるとされ、今注目されているサワードウブレッド。一体どのようなパンなのでしょうか。

味の変化やアレンジが無限大

サワードウブレッドとは、小麦粉、塩、水と、自然発酵させた天然酵母から造られるシンプルなパンです。程よい酸味があり、1日目はもちろん、2日目も旨味がさらに出てきます。

もちもちした食感とヨーグルトのような酸味、時間が経つごとに変化する旨味が特徴のパンです。一般的なイースト菌を使うのではなく、オーストラリアのパン屋から継いでいる酵母を発酵させるというのがポイント。こちらのお店では合計約30時間もかけているのだとか。

「酵母は生き物なので手がかかるんです。」とまるで子育ての話をするかのように語る店主。
オーストラリアから譲り受けた酵母を、今も継ぎ足し使用している中、環境が変わると、最初は思うようにいかないこともあったといいます。何ヶ月もかけて環境に馴染ませ、相性の良い水や小麦を日々試行錯誤することで、ベストな状態を保っているのだそう。「何年も毎日見ているから、今となっては顔色を見るとその日の機嫌が分かるんです。」と話す顔はお父さんのように頼もしく、酵母への愛情が感じられました。

お店の看板商品「ホワイト」は、弾力のある食感と噛めば噛むほど出てくる素材の旨味を存分に味わえます。そのままでも、トーストしても、アボカドやチーズと合わせても。私はスープのおともに浸していただきました!
フルーツ入りは、バニラアイスなどと合わせてデザートにしてもgood◎
日持ちもよく、アレンジの幅がきくので、毎日食べても飽きません。
タイマーが鳴ると「生地に呼ばれた!」と足早に工房へ戻る店主。手塩にかけて丁寧に作られたパンが美味しいのも納得です。

パンがビールに生まれ変わる

オーストラリアに根付く朝のカフェ文化やライフスタイルにも関心を持ち、今後は、街の流れに合わせてオーストラリアの食文化を取り入れたいとのこと。まだまだこれからです!とFRESHな心意気を見せてくださいました。

『世田谷パン祭り2023』では、ライ麦粉のサワードウブレッドにレーズン、バナナ、くるみを合わせた限定パンも販売予定です!

さらに、『世田谷パン祭り2023』のチャレンジのひとつである、アップサイクルビールの醸造に使うパンの提供もしてくださっています。ビールがお好きで、お店にもさまざまなビールを取り揃えている店主も、自分のパンがどんなビールになるのかと楽しみにしていらっしゃいます。当日はパン呑みエリアにて皆さんもぜひ、買ったパンと一緒にパンから出来たビールもお楽しみください!

雪見みと(26)

兵庫県出身。パンシェルジュ検定2級取得。
BS12「SDGsらぼ」にて初のナビゲーターを務め、昨年、SDGs✕パンの単独イベント 「雪見みと 今日から始めるSDGs」にて廃棄パン問題に向き合い、冷凍パンを促進する活動に携わった。

学生時代、透明感のある被写体モデルとして、SNSで人気となりテレビ番組で特集が組まれるなど話題殺到。
2020年、短編映画 純猥談「いつか回り回って恋人に戻れたら幸せです」ではヒロインに抜擢。2023年、テレビ東京 ドラマ25「クールドジ男子」に出演、今後主演映画の公開も控えているなど注目女優。